肝臓破裂の1例

11歳のワイヤーフォックステリアが急にフラフラしてボーッとし出したとの事で来院した。血液検査では肝臓の数値が高い以外、貧血もなく特に問題はなかった。血圧は若干低め、やや低体温であることから末梢循環不全が疑われ、腹部の若干の張りから腹腔内出血が疑われたため、腹部超音波検査を実施した。
上腹部に液体貯留があり、穿刺したところ出血が確認されたため、緊急試験開腹を行った。
肝臓の尾状葉が腫大・破裂しており出血していた。腫大している部分を切除し、出血していないことを確認して閉腹した。腹腔内の出血量は280mlで計算上全身の血液量のほぼ1/3であった。
術後は十分な輸液を行い、貧血はしていたが次の日から状態の改善が認められ、3日後に退院した。
肝臓の破裂した腫瘤は良性の肝細胞腫であり、現在は抜糸も終了し元気に回復したが、遅れていたら命を落としていたことが予想され、安堵した症例であった。